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100万本の赤い薔薇
第2章 初めてのデート
社長が出張から戻った木曜と金曜はそれなりに忙しく、
茉莉子は資料作成や来客対応に追われていた。

金曜の夜は上海からのクライアントがあり、
一度自宅に立ち寄り身支度を整えて、
会食の会場に一足早く到着した。

東京タワーの真下にある古民家を移築したという店の個室で、
懐石料理での接待だったが、
念のため、部屋の様子や正座の出来ない客人への配慮、
途中もしくは帰りの為の撮影スポットになりそうな場所を確認した。

茉莉子はせっかくの海外からのお客様ということだが、立場上控えめにと考え、
年齢からするとやや地味な付け下げに蘇州刺繍の帯を合わせた。

日本と中国の伝統の技術を融合させたような控え目なコーディネートながら、
ひとつひとつが上質な物だということは誰の目にも明らかで、
目の肥えた女将も目を細めながら
「素敵ね」と口にするほどだった。


社長と秘書の林が、
クライアント2人を伴って到着した。

茉莉子は流暢な中国語でにこやかに出迎えると、
客人より社長の方が、

「いやー、茉莉子くん。
着物姿だと一段と美しいな」
と嬉しそうに笑う。

茉莉子は苦笑しながら、
先に立ち、案内をする。


会話も弾み、食事も楽しく進んだ。
特に、切った青竹に入れられた冷酒が殊更気に入ったらしく、
何度も乾杯をする。

中国の客人との乾杯は、
文字通り、杯を乾すということなので、
にこやかに付き合っていると大変なことになる。

社長を気遣い、そっと全員に水を出すよう仲居に伝えた。


「上海に是非、お越しください。
湖までドライブして蟹を食べましょう!」

と、楽しそうに話をするクライアントは、
茉莉子のことが気になって仕方がない様子だ。


そろそろお開きの時間になり、
社長に手土産の入った袋を渡し、
「こちらを社長から陳様にお渡しください。
奥様とお嬢様向けのミキモトのアクセサリーです」と付け加えた。


中庭や店の外で写真を撮って、
楽しそうにwechatで画像を送る様子を遠目で見ながら会計を済ませて、その店の名物の湯葉と豆腐を買った。


林にクライアントをタクシーで送るよう伝えて、
次のタクシーを待ちながら、

「こちら、明日の朝食にでも奥様と召し上がってくださいね。
来週は人間ドックですから、塩分控えめにですよ」
と紙袋を渡し、社長を見送った。
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