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100万本の赤い薔薇
第2章 初めてのデート
「さっきは失礼」

と、長谷川が言うが、

「何が?」と茉莉子は首を傾げる。


「犬…」


「ああ、こちらこそごめんなさい。
あんなに吠えるなんて驚いたわ」


「子供の頃、ほら、高校の近くに公園あるじゃん。
あそこで遊んでいた時、
リードが外れた秋田犬にガブリと顔を齧られたことがあってさ」

と、長谷川が説明する。


「驚いて固まって動かなかったことで、
犬も興奮することなく、
そのまま離してくれたけど、
すっぽり顔が犬の口に入ってたらしく、
近くにいたお袋は気絶したらしいよ。
ほら、ここ」


と、耳の下あたりを向けると、
小さな傷痕が残っていた。


「動脈掻き切られてたり、
興奮して咥えられたまま犬が首を振ったりしてたら、
死んでたかもな」


話を聞いている茉莉子の方が、
顔面蒼白になり、震えている。


「それ以来、やっぱり犬、怖くてね。
あんな小さい犬なのにな」
と言いながら立ち上がり、


「ごめん。
怖い話をしちゃったかな。
震えてるな」

と、後ろからふわりと抱き締める。


「その場にいらしたお母様のお気持ち考えたら!
本当に生きた心地がしなかったでしょうね」
と言いながら、零れる涙が長谷川の手に落ちる。


「茉莉子は優しいんだな」

と言って、
長谷川は涙を拭ってキスしようとするが、


「あ!
歯磨きしないと、キス出来ないんだっけ?」
と笑って離れた。


「えっ?」


「そう言ってたじゃん。
昨日の夜」


「嘘!いやだわ」
と言いながら、慌ててトレイを下げようと立ち上がる。


「手伝うよ」
と、長谷川も立ち、キッチンにトレイを運ぶ。


「部屋の大きさは違うけど作りは一緒なんだな?」
と言いながら、
長谷川は軽くお湯で汚れを流してから食洗機に食器を入れた。

その間に、茉莉子が黒い漆器だけを丁寧に洗って拭き清めた。


「お片付けまで手伝っていただいて、
ありがとうございました。
コーヒー、入れましょうか?」
リビングにお待ちします」
と言って、茉莉子は長谷川をキッチンから追い出した。


距離が近すぎて、
急に緊張したから、
気持ちを落ち着けたいと思ったからだ。
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