この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
100万本の赤い薔薇
第3章 怖くて堪らない
はっ!と長谷川は目が覚めて起き上がった。
足元で寝ているモカを蹴り落としそうになって、
慌てて抱き止めると、
モカは不思議そうな顔をして、手のひらを舐めた。


茉莉子は?

見回すと、ベランダのガラス扉が少し開いていて、
外の椅子に座っているのが見えた。

驚かさないようにそっと長谷川もベランダに出て、
隣の椅子に腰を降ろした。


ヘッドホンを外しながら、

「ぐっすりでしたね。
お疲れだったのね」
と茉莉子は言った。

外したヘッドホンから微かにピアノの音がする。


「せっかく一緒に居るのに、
食べては寝てるだけみたいだな」
と笑うので、

「ついでにお夕食も召し上がりますか?
予定がなければですけど」
と言ってみる。


「えっ?そんな時間?」


「いえ、まだ4時位じゃないかしら。
仕事じゃない時は、時計も眼鏡もしてないから、
時間判らないし、目もあんまり見えないの。
お部屋の時計も見えないわね」

と部屋の方を見ながら、
少し目を細めているところすら、
可愛いと、長谷川は思った。


「ちょっと寒くなってきたからお部屋に入りましょうか」
と言って、
茉莉子が立ち上がる。

ベランダにはハーブらしい鉢と、
薔薇のプランターが少し置いてある。


「そうだわ!」
と言いながら、チェアのポケットから小振りの園芸用の鋏を取り出して、
いくつか薔薇とハーブを切って鋏を戻した。


「長谷川さん、マグカップを運んでいただけますか?」
と言って、
二人、室内に入った。

長谷川はそのままキッチンに行きマグカップをシンクに置いた。

茉莉子は寝室に入り、
バカラの花瓶を手に、キッチンに戻った。

真人に貰った真紅の薔薇はすっかり開ききってしまって、
触れると今にも散りそうだった。
毎日、水を替えて水切りしてたが、
そろそろ替え時だった。

茉莉子はベランダで摘んだ薔薇とハーブを、
低めの小さな花瓶に生けて、
深紅の薔薇は、
「ありがとう」と言ってから捨てた。

花瓶を丁寧に洗って吹き上げると、
長谷川がその様子を見ているのに気づいて、

「ごめんなさい。
お花のこと、考えてたら…」
と、少し困った顔をした。


「多分、男からのプレゼントだな。
赤いコースターみたいなのもあったから、
あの坊やかな」
と、少しばかり嫉妬の混ざった顔で呟いた。
/245ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ