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100万本の赤い薔薇
第1章 いつも見てた
その夜も、いつもの奥のカウンターに座っていて、
その頃には、
名前が茉莉子さんということと、
近くの会社に勤めていることだけは、健太にもわかっていた。
マスターは既に外に出掛けていて、
ママが健太の席の処で、
酔いの回り始めた健太にしきりに話し掛けてきていた。
「ねー。若いのになんでこんな渋いバーに来てくれるの?」
「茉莉子さん」
「えっ?」
「茉莉子さんの笑顔、
めっさ可愛いっすよね」
「あー!なるほど。茉莉子さん目当てなのね。
じゃあ、紹介してあげようか?」
「いやいやいや。大丈夫です。
見てるだけで良いんです!!」
そんなやりとりをしていたら、
真ん中辺りのオッサンたちと茉莉子が一緒に飲み始めて、
そのうち、1人が帰り、
明らかに残ったヤツが、茉莉子を口説いているようにしかみえなくなり、
健太としても気が気ではなくなる。
しかも、会話の中には、
茉莉子のプライベートの謎がいくつか散りばめられているから、
耳がダンボ状態になる。
ふーん。
バツイチなのか。
虫除けって、蚊に刺されやすいのかな?
いや、違うな。
男除けか。
子供がいるのか。
何歳なのかな?
元ダンナさん医者かー。
なんか、上品な感じするしな。
セレブなのか。
しかし、あいつ、
絶対茉莉子さんのこと、口説いてるわ。
なんか、ムカつくし。
妻帯者って言ってたくせに。
本格的に酔っ払ったのを見て、
ママを手伝って、長谷川を追い出すことに成功したものの、
健太としては、どうやって茉莉子にアプローチするかも判らず、
ぎこちなく会釈することしか出来なかった。
ここで、気の利いたことの一つでも言えれば良いのに。
しかも、どうでも良いヤツには、
いくらでもしょうもないこと言っては、
お持ち帰りだっていくらでも出来るのに、
一番、一緒に居たいと思う女性には、
声ひとつ出せないものなのかと、
自分で自分のことを、呆れてしまう健太なのであった。
その頃には、
名前が茉莉子さんということと、
近くの会社に勤めていることだけは、健太にもわかっていた。
マスターは既に外に出掛けていて、
ママが健太の席の処で、
酔いの回り始めた健太にしきりに話し掛けてきていた。
「ねー。若いのになんでこんな渋いバーに来てくれるの?」
「茉莉子さん」
「えっ?」
「茉莉子さんの笑顔、
めっさ可愛いっすよね」
「あー!なるほど。茉莉子さん目当てなのね。
じゃあ、紹介してあげようか?」
「いやいやいや。大丈夫です。
見てるだけで良いんです!!」
そんなやりとりをしていたら、
真ん中辺りのオッサンたちと茉莉子が一緒に飲み始めて、
そのうち、1人が帰り、
明らかに残ったヤツが、茉莉子を口説いているようにしかみえなくなり、
健太としても気が気ではなくなる。
しかも、会話の中には、
茉莉子のプライベートの謎がいくつか散りばめられているから、
耳がダンボ状態になる。
ふーん。
バツイチなのか。
虫除けって、蚊に刺されやすいのかな?
いや、違うな。
男除けか。
子供がいるのか。
何歳なのかな?
元ダンナさん医者かー。
なんか、上品な感じするしな。
セレブなのか。
しかし、あいつ、
絶対茉莉子さんのこと、口説いてるわ。
なんか、ムカつくし。
妻帯者って言ってたくせに。
本格的に酔っ払ったのを見て、
ママを手伝って、長谷川を追い出すことに成功したものの、
健太としては、どうやって茉莉子にアプローチするかも判らず、
ぎこちなく会釈することしか出来なかった。
ここで、気の利いたことの一つでも言えれば良いのに。
しかも、どうでも良いヤツには、
いくらでもしょうもないこと言っては、
お持ち帰りだっていくらでも出来るのに、
一番、一緒に居たいと思う女性には、
声ひとつ出せないものなのかと、
自分で自分のことを、呆れてしまう健太なのであった。