この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
100万本の赤い薔薇
第1章 いつも見てた
翌日は土曜日で、仕事は休みだ。
でも習慣で、平日と同じ時間に目が覚める。

二日酔いなのか、偏頭痛気味の頭をそっと振り、
もらった長谷川の名刺を見ながら溜息をついた茉莉子に、
トイプードルのモカがまとわりついてくる。


考えてても仕方ないから、
お散歩に出ようかと思い、ノロノロと着替えをする。

銀座の外れにあるマンションは、
離婚する時の慰謝料の一つだった。

息子の親権も、時間と費用を掛けて争えば、
勝ち取る事は可能だっただろうが、
争う気力と体力もなく、
また、争う事で息子の心に傷を負わせるような気がして、
身を引いてしまった。

当時専業主婦でしかなかった自分より、
開業医の夫の方が、
社会的地位も収入も高く、
安定した生活を息子に提供出来るとも考えたからだ。



散歩をしていると、ポケットの中で携帯電話が鳴った。

昨日の長谷川には電話番号を伝えていない。
この携帯電話の番号を知っているのは、
非常に限られている。


ディスプレイには、
幼馴染のボーイフレンドで、
ある意味、腐れ縁の真人の名前が表示されていた。


「おはよう。どうしたの?こんな朝早くに。
また、結婚でもしたの?」


「朝から辛辣だな。
まだ、結婚はしてねぇよ。
3回目は慎重にいきたいからな」


「まだ、懲りてないんだ。
私は一度の離婚で、もうヘロヘロ。
で、なあに?」


「今日、夕食どう?銀座久兵衛で。
再来月、誕生日だろ?
ちょうど長期出張で会えないから、早めにさ」


「わーい。それは嬉しいな。時間は?」


「7時に現地集合で!遅れるなよ」


「はいよー。楽しみ。ランチ抜いて備えるね」


「じゃあな。これから接待ゴルフなんだ」


真人とは、いつもこんな調子だ。
男性がすっかり苦手になってしまった茉莉子だが、
真人とだけは、変わらず軽口を叩ける。


幼稚園から高校まで同じ学校に通った流れで、
大学時代には、付き合って寝たこともある。

真人の方が、いつでも茉莉子に夢中だった。
そして、それは今でも変わっていなかった。

茉莉子は結婚したものの、バツイチになり、
真人にいたっては、2回も離婚する羽目になったが、
いまだにこうして、時折連絡を取り合い、
そっと生存確認するように会ったりしている。
/245ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ