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100万本の赤い薔薇
第3章 怖くて堪らない
ロビー横のラウンジにあるカフェに、
陽子が男と座って難しい顔をしている。

サングラスと帽子を被り、
いつもの陽子らしからぬ派手なワンピースを着ていた。
まるで、ラジオのパーソナリティをしていた頃のようだ。


商談相手との話も終わり、
別れたところだった長谷川は、
柱と観葉植物で隠れるテーブルに座り直し、
コーヒーをオーダーした。


流石に2人の会話ははっきりとは聴こえないが、
ところどころ、よく通る陽子の声だけは聴こえた。


ひどいわ。
どうするのよ。
とにかく、病院へ。
貴方、離婚するって言ってたじゃない。


どう考えても痴話喧嘩にしか聴こえない。
そして記憶を辿って相手の男のことを思い出した。
披露宴に来ていた、ラジオ局のプロデューサーかディレクターだ。
名前は覚えていないが、
人の顔に関する記憶力には自信があった。



暫くすると2人は席を立った。

少し考えてから、ゆっくりと立ち上がり後を追った。
そして、2人が入ったのは、産婦人科だった。


何が起きてるのか判らず、長谷川は混乱した。

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