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100万本の赤い薔薇
第3章 怖くて堪らない
「ん?」

茉莉子を抱き締めて背中を撫ぜていたら、
何かに当たった気がして、
身体を少し起こして見てみると、
モカがベッドの上に乗ってきていた。
モカと茉莉子の間には、
アメリカ生まれで誰もが知っているビーグルのぬいぐるみがあった。


「あら。
モカちゃんはベッドに戻りなさい」
と言って、
「可笑しいでしょ。
いまだにこの子が居ないと眠れないの。
出張にも連れて行くのよ」
と恥ずかしそうにクタクタになったぬいぐるみを見せた。


「うちの娘も同じのを抱えて寝てたな。
今はどうだろう?」
と、長谷川は寂しそうな顔をした。


「お嬢様、しっかりと陽子先輩に愛されているのかしら?
寂しい思いをされてないかしら?」


茉莉子の優しさが心に染み込んでいって、
それが涙になるような気がした。
上を向いて涙を堪えたが、溢れる涙を止めることは出来なかった。


茉莉子は少し身体を起こして、
母親のように長谷川を胸に抱き締めた。

茉莉子の洗い立てのパジャマの胸元に、
涙が染み込んでいく。

そんな茉莉子も静かに涙を流していた。


「ほら、長谷川さんは、
心の底からお嬢様を愛しているのよ。
だから涙が溢れているの。
そんな気持ちをきちんとお嬢様に伝えるべきだわ。
愛情を感じられないのはとても不安なことですもの」

とゆっくり噛み締めるように言った。


「お嬢様は何年生ですか?」

「中学3年だよ。
中高一貫だから受験もないんだ」

「あら。
うちの息子より1学年お姉様なのね」


そう言いながら、
長谷川たちの披露宴の後に自分自身に起こった出来事を思い出して、
急に身体が震えてきてしまった。

異変に気づいた長谷川は、
すぐに茉莉子を見上げて、
その顔の白さに驚いた。


「大丈夫か?
水、飲む?」
と背中を撫ぜながらも心配で声を詰まらせる。


「あの…
とても辛かったことを思い出してしまって。
ごめんなさい。
長谷川さんのこととは関係ないの。
自分のことなの。
落ち着くまでこうしていてくださいますか?」
と小さい声で震えながら言った。


長谷川は、黙って静かに、
でも力強く茉莉子を抱き締めて、
髪や背中をゆっくり撫でた。


よほど辛い思いをしたんだと考えると、
自分から話せるようになるまで辛抱強く待つしかないと長谷川は思った。
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