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100万本の赤い薔薇
第4章 新たな関係と思惑
髪を乾かしてから、昨日のように茉莉子はリードをつけたモカを抱き上げ、
長谷川がトートバッグを持って散歩に出た。
外に出ると、この日はリードを持つのを長谷川に任せて、
茉莉子がバッグを持った。
この日もモカの気分に合わせて、気ままにのんびり歩いた。
まだ秋になり切れてないのか日差しは若干強く、
早歩きすると汗ばむが、
ゆっくり歩くのは心地よい季節だ。
一度家に帰ると、長谷川がモカの脚を洗って拭いた。
「すっかり仲良しになりましたね!
モカちゃんなら怖くないでしょ?」と茉莉子が笑うので、
「茉莉子も俺のこと、
怖くないよね?」
と確かめるように長谷川は言った。
「お仕事の時とかは、怖そうね」と言いながら、
茉莉子はバスタブの栓を抜くと、
シャワーで浴室の中全体をざっと洗い流して、
先程使ったバスタオルでざっくり拭き清めてから換気扇を回した。
「ふーん。そうやると良いのか」
と長谷川は感心して言う。
そして、2人はファーマーズマーケットに出掛けた。
まだ比較的空いている時間帯ということもあり、
地下鉄一本で向かう。
食品を扱っているブースが多いということなので、
モカは留守番にした。
小さなバッグを斜め掛けにして、
がっしりと編まれた大振りのカゴを持った茉莉子を見て、
「なんか市場に仕入れに行くみたいだな」と笑って、
カゴを長谷川が持つ。
「山葡萄の蔓で編まれてるんです。
もう10年以上使っているかしら?」と言いながら、
長谷川の持つカゴバッグの表面をそっと撫でる。
中にはカラフルな布袋がついていて、
紐を縛って中身を見えないようにする仕様になっていた。
それは後から茉莉子が縫ったものを取り付けたのだという。
ファーマーズマーケットは思いの外混み合っていた。
茉莉子が懇意にしているらしいブースで、
野菜や果物、調味料やチーズ、蜂蜜など細々とした物を手際良く買って歩く。
ふと見ると、切り花を置いているブースがあった。
真っ赤な薔薇はなかったが、
香りが強いふっくらとした薔薇が数種類バケツに挿してあったので、
茉莉子が野菜を買っている隙に、
「それ、全部ください」と言って、
新聞紙にすっぽりと包んで貰った。
いくつか他のものも入れてくれたようだ。
人混みに酔ってしまったという茉莉子を抱き抱えて、
青山通りでタクシーを拾った。
長谷川がトートバッグを持って散歩に出た。
外に出ると、この日はリードを持つのを長谷川に任せて、
茉莉子がバッグを持った。
この日もモカの気分に合わせて、気ままにのんびり歩いた。
まだ秋になり切れてないのか日差しは若干強く、
早歩きすると汗ばむが、
ゆっくり歩くのは心地よい季節だ。
一度家に帰ると、長谷川がモカの脚を洗って拭いた。
「すっかり仲良しになりましたね!
モカちゃんなら怖くないでしょ?」と茉莉子が笑うので、
「茉莉子も俺のこと、
怖くないよね?」
と確かめるように長谷川は言った。
「お仕事の時とかは、怖そうね」と言いながら、
茉莉子はバスタブの栓を抜くと、
シャワーで浴室の中全体をざっと洗い流して、
先程使ったバスタオルでざっくり拭き清めてから換気扇を回した。
「ふーん。そうやると良いのか」
と長谷川は感心して言う。
そして、2人はファーマーズマーケットに出掛けた。
まだ比較的空いている時間帯ということもあり、
地下鉄一本で向かう。
食品を扱っているブースが多いということなので、
モカは留守番にした。
小さなバッグを斜め掛けにして、
がっしりと編まれた大振りのカゴを持った茉莉子を見て、
「なんか市場に仕入れに行くみたいだな」と笑って、
カゴを長谷川が持つ。
「山葡萄の蔓で編まれてるんです。
もう10年以上使っているかしら?」と言いながら、
長谷川の持つカゴバッグの表面をそっと撫でる。
中にはカラフルな布袋がついていて、
紐を縛って中身を見えないようにする仕様になっていた。
それは後から茉莉子が縫ったものを取り付けたのだという。
ファーマーズマーケットは思いの外混み合っていた。
茉莉子が懇意にしているらしいブースで、
野菜や果物、調味料やチーズ、蜂蜜など細々とした物を手際良く買って歩く。
ふと見ると、切り花を置いているブースがあった。
真っ赤な薔薇はなかったが、
香りが強いふっくらとした薔薇が数種類バケツに挿してあったので、
茉莉子が野菜を買っている隙に、
「それ、全部ください」と言って、
新聞紙にすっぽりと包んで貰った。
いくつか他のものも入れてくれたようだ。
人混みに酔ってしまったという茉莉子を抱き抱えて、
青山通りでタクシーを拾った。