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100万本の赤い薔薇
第4章 新たな関係と思惑
その後長谷川は娘の部屋の中を確認すると、
夜までやっているホームセンターまで車を走らせ段ボールと梱包材を購入した。
結依も一緒に行きたいと言うので、
久し振りに2人で車に乗り、途中ハンバーガーショップで軽い夕食を取った。

「お父さんと一緒だと、外食ばかりになるな」と言うと、

「これまでも、そんな感じだったし」と寂しそうに笑うのを見て、
もっと早く動くべきだったと後悔した。

帰宅すると娘の部屋に段ボールなどを運び入れて、
「重たい本は小さい箱に。
軽くて嵩張る服とかは中くらいの箱に」と言った。


「お父さん、本当は来週じゃなくて、
今夜にも一緒にお父さんの処に行きたい」と言うので、
現実的にそれが出来るかを冷静に考えた。

「まずは、取り敢えず梱包しろ。
また買えば良い物は、後から買えるから、
必要なものだけまとめてごらん。
それと、通学に必要なものは忘れないように。
下駄箱の靴とか、洗濯機に入っている体操着とか、
制服の替えとかもだ」


そして、リビングに座ったままの陽子に声を掛けた。

「結依が今日からでも俺の処に行きたいと言っているが、
問題はあるか?」

陽子は黙って首を横に振る。
連れて帰っても良いということだな。


「結依、荷物をまとめられたら、宅急便に出しに行くぞ。
明日明後日、学校で使う物は、
手持ちになるから間違えて箱に入れるなよ。
ピアノは持っていけないな。
練習するところを探せば良いかな」

そう言うと、結依の顔がパァッと明るくなった。

どんどん荷物を箱に詰めて、
学校の荷物とパジャマ、
そしていつも寝ている犬のぬいぐるみをそっと小振りのキャリーバッグに入れた。

荷物を近くのコンビニに持ち込み、
伝票を手分けして書いて預けたが、
時間が時間なので、火曜日着になるとのことだった。

家に戻り、
改めて荷物を持って、
娘と2人、陽子に声を掛けた。

「じゃあ、行くよ。
家を出たら連絡くれ。
届けは俺の方で出しておく。
学校にも連絡しておくから」


「お母さん、さよなら」
と、結依が言った。

「お母さんは、あの肩からセーター掛けてたおじさんの処に行けば良いのよ。
私なんて、居ても居なくても同じだったものね」

陽子はその言葉に対しても、
最後まで顔を上げることはなかった。

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