この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
100万本の赤い薔薇
第4章 新たな関係と思惑
翌朝は、6時前に娘を起こしてシャワーを浴びさせると通学の身支度をさせた。
広めだが娘は年頃だ。
納戸にしている小部屋を個室にしなければな。
朝食に出来る食材も調理道具もないので、
取り敢えず家を出て駅に向かうことにした。
エレベーターに乗ると、
偶然にも茉莉子が居た。
「おはようございます」
と挨拶を交わした。
茉莉子は既に髪をきりりと束ねて、
よく手入れされたバーキンを持っていた。
「いつもこのくらいの時間ですが、
お会いしたことありませんでしたね」
「娘を学校まで送るので、
いつもよりかなり早いんです」と答えた。
後ろに居る制服姿の少女がぺこりとお辞儀をして、
「長谷川結依です」と言った。
「可愛らしいお嬢様ね。
山川茉莉子です。
上の階に住んでいます。
宜しくお願いします」とお辞儀をした。
「駅までですか?
途中までご一緒しても?」
と言いながら、エントランスを出て、
JRの駅に向かう2人の少し後ろを茉莉子は歩いた。
「朝食は召し上がったの?」
「時間もないし、食材も何もないので、
駅でパンでも買って電車で食おうかと。
下り方面だから、グリーン車乗れますよね?」
「電車は殆ど乗らないから判らなくて…。
あ、お昼は?
今時の学校は給食なのかしら?
それとも、カフェテリアがあるの?」
結依は小さな声で、
「給食もカフェもないので、途中でパンを買います」と言う。
だったら!
と言って、茉莉子はバーキンの中からミニトートに入れてあるお弁当を取り出して言った。
「お口に合わなかったら捨ててしまっても良いから、
持っていって!
朝もお昼もパンなんて、
育ち盛りのお嬢様には良くないわ」
「あの、でも…」
「おばあちゃんが作ったみたいな家庭料理しか入ってないから、
女子中学生っぽくないけど」と笑いながら付け加えた。
「それでは申し訳ないし」と、長谷川が言うが、
茉莉子はきっぱり、
「どうぞ召し上がれ」と結依に渡す。
バッグの中の名刺入れを取り出すと、
自分の名刺の裏に部屋番号と携帯番号を書いて渡した。
「鍵が開かないとか、設備が判らないとか、お父様が遅くなった時や
困ったことがあったら遠慮なく電話してください。
マンションの上の階だから、
すぐに駆けつけることも出来るし、
夜はすることなくて大抵家におりますので」と言い添えた。
広めだが娘は年頃だ。
納戸にしている小部屋を個室にしなければな。
朝食に出来る食材も調理道具もないので、
取り敢えず家を出て駅に向かうことにした。
エレベーターに乗ると、
偶然にも茉莉子が居た。
「おはようございます」
と挨拶を交わした。
茉莉子は既に髪をきりりと束ねて、
よく手入れされたバーキンを持っていた。
「いつもこのくらいの時間ですが、
お会いしたことありませんでしたね」
「娘を学校まで送るので、
いつもよりかなり早いんです」と答えた。
後ろに居る制服姿の少女がぺこりとお辞儀をして、
「長谷川結依です」と言った。
「可愛らしいお嬢様ね。
山川茉莉子です。
上の階に住んでいます。
宜しくお願いします」とお辞儀をした。
「駅までですか?
途中までご一緒しても?」
と言いながら、エントランスを出て、
JRの駅に向かう2人の少し後ろを茉莉子は歩いた。
「朝食は召し上がったの?」
「時間もないし、食材も何もないので、
駅でパンでも買って電車で食おうかと。
下り方面だから、グリーン車乗れますよね?」
「電車は殆ど乗らないから判らなくて…。
あ、お昼は?
今時の学校は給食なのかしら?
それとも、カフェテリアがあるの?」
結依は小さな声で、
「給食もカフェもないので、途中でパンを買います」と言う。
だったら!
と言って、茉莉子はバーキンの中からミニトートに入れてあるお弁当を取り出して言った。
「お口に合わなかったら捨ててしまっても良いから、
持っていって!
朝もお昼もパンなんて、
育ち盛りのお嬢様には良くないわ」
「あの、でも…」
「おばあちゃんが作ったみたいな家庭料理しか入ってないから、
女子中学生っぽくないけど」と笑いながら付け加えた。
「それでは申し訳ないし」と、長谷川が言うが、
茉莉子はきっぱり、
「どうぞ召し上がれ」と結依に渡す。
バッグの中の名刺入れを取り出すと、
自分の名刺の裏に部屋番号と携帯番号を書いて渡した。
「鍵が開かないとか、設備が判らないとか、お父様が遅くなった時や
困ったことがあったら遠慮なく電話してください。
マンションの上の階だから、
すぐに駆けつけることも出来るし、
夜はすることなくて大抵家におりますので」と言い添えた。