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100万本の赤い薔薇
第4章 新たな関係と思惑
7時半過ぎても長谷川は帰って来ないが、
結依は携帯も持っていないし固定電話もないので、連絡のしようもなかった。
茉莉子さんからお父さんに電話して貰おうかな?
と思い、
ミニトートに乾いた弁当箱と箸を入れ、畳んだ小風呂敷を上に載せて持つと、茉莉子の部屋に行った。
インターホンを鳴らすとすぐに茉莉子が出てくれてドアを開けてくれたのでホッとした。
「いらっしゃい」と優しく笑顔で迎えてくれる茉莉子に、
「お弁当、ありがとうございました。
とても美味しかったです」と、ミニトートを渡しながら伝えた。
奥からぬいぐるみのような犬が尻尾を振りながら結依の処にやってきた。
「モカちゃんって言うの。結依ちゃんのこと、好きみたいね」と笑い、
「お父様、まだお仕事だったら、中に入って」
と言う。
スリッパを履いて奥に進むと、
「わー!スタインウェイ!!」と言いながら、
グランドピアノに駆け寄った。
「小さめなモデルなの。
まだ時間が早いから弾いても大丈夫よ。
そうだ。夕食まだなら、ご一緒しましょう。
いつも1人で食べるから、つまらなくて。
好き嫌いとかアレルギーある?」と訊かれるが、
気もそぞろで生返事をしてしまった。
壁かと思う処を押すと収納棚になっていて、
「譜面はここにあるから良かったらどうぞ」と言われた。
結依は、スケールなど弾いて指を温めてから、
コンクールの為に暗譜している曲を弾き始めた。
茉莉子は、明日はお弁当2つ作ろうと思って、
多めにお米を炊こうと土鍋を出して、
料理を始めた。
お弁当箱も息子の為にと思って用意していたものが2つある。
1つは小振りのもの、もう1つは中学生になる時に一回り大きいものを用意していたので、小さいのを結依に使おうと思った。
ダイニングテーブルに食器を並べて、
結依に声を掛けた。
気づいたら2時間近く弾いていた。
「ごめんなさい。
グランドピアノ、なかなか弾く機会がないから、
夢中になっちゃいました」
「その曲、暗譜で弾けるなんて、素晴らしいわ」
と言われて、恥ずかしそうな顔をした。
「今度の土曜日にコンクールがあって…
あ、お時間あったら聴きに来てください」
「県民ホール?」
「そうです!!」
茉莉子は少し考えるような顔をすると、
気を取り直したように、
「さ!ご飯にしましょうね」
と言って笑った。
結依は携帯も持っていないし固定電話もないので、連絡のしようもなかった。
茉莉子さんからお父さんに電話して貰おうかな?
と思い、
ミニトートに乾いた弁当箱と箸を入れ、畳んだ小風呂敷を上に載せて持つと、茉莉子の部屋に行った。
インターホンを鳴らすとすぐに茉莉子が出てくれてドアを開けてくれたのでホッとした。
「いらっしゃい」と優しく笑顔で迎えてくれる茉莉子に、
「お弁当、ありがとうございました。
とても美味しかったです」と、ミニトートを渡しながら伝えた。
奥からぬいぐるみのような犬が尻尾を振りながら結依の処にやってきた。
「モカちゃんって言うの。結依ちゃんのこと、好きみたいね」と笑い、
「お父様、まだお仕事だったら、中に入って」
と言う。
スリッパを履いて奥に進むと、
「わー!スタインウェイ!!」と言いながら、
グランドピアノに駆け寄った。
「小さめなモデルなの。
まだ時間が早いから弾いても大丈夫よ。
そうだ。夕食まだなら、ご一緒しましょう。
いつも1人で食べるから、つまらなくて。
好き嫌いとかアレルギーある?」と訊かれるが、
気もそぞろで生返事をしてしまった。
壁かと思う処を押すと収納棚になっていて、
「譜面はここにあるから良かったらどうぞ」と言われた。
結依は、スケールなど弾いて指を温めてから、
コンクールの為に暗譜している曲を弾き始めた。
茉莉子は、明日はお弁当2つ作ろうと思って、
多めにお米を炊こうと土鍋を出して、
料理を始めた。
お弁当箱も息子の為にと思って用意していたものが2つある。
1つは小振りのもの、もう1つは中学生になる時に一回り大きいものを用意していたので、小さいのを結依に使おうと思った。
ダイニングテーブルに食器を並べて、
結依に声を掛けた。
気づいたら2時間近く弾いていた。
「ごめんなさい。
グランドピアノ、なかなか弾く機会がないから、
夢中になっちゃいました」
「その曲、暗譜で弾けるなんて、素晴らしいわ」
と言われて、恥ずかしそうな顔をした。
「今度の土曜日にコンクールがあって…
あ、お時間あったら聴きに来てください」
「県民ホール?」
「そうです!!」
茉莉子は少し考えるような顔をすると、
気を取り直したように、
「さ!ご飯にしましょうね」
と言って笑った。