この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
100万本の赤い薔薇
第4章 新たな関係と思惑
水曜日になった。
天気は晴れだ。
確認の電話もしていなかったから、
賭けのような気持ちで健太は13時過ぎにバーの前に走った。

茉莉子は涼しそうな顔で笑顔を見せた。


「良かった。居なかったらどうしようと思った」

「約束したのに?」

「電話もしてなかったから」


こんな処にあるのか?という小さなベンチに座り、
茉莉子のお弁当を開けた。

「うわっ。すげえ!」
と、健太は声を上げた。

「茉莉子さんの分は?」と訊くと、

「この後、仕事でアフターヌーンティー兼用で、
接待があるから、ランチは抜きにしたの」

と言う。

「アフターヌーンティー。なんか凄いっすね」
と、健太は目を丸くする。

「卵焼き、甘くないやつだ!」
と子供のように喜ぶ。

「関西は甘くないんでしょ?」

「えっ?関西って言いましたっけ?」

「時々、大阪弁を感じたから」
と笑う。

「あ、暫くバーには行けなくなったの。
ギターの練習はちょっとお預けね。
この前の3つのブルースコードだけしっかり覚えておいてね」
と言われた。

給料日前になるから、
懐具合も寂しいし、
ちょうど良いかなと思う反面、
会う機会が減ることには正直がっかりした。

「仕事、忙しいんですね」
というと、

「そうね」と笑う。

「ちょうど俺も締め切りに追われそうなんで
バーに行けないなと思ってました」
と、強がって言ってみた。

「あら。
じゃあ、水曜日のランチデートもダメかしら?」
と言われて、
慌てて首を横に振りながら、

「その時間は死守します!」と言った。


「あ、これ」

と言って、今日も赤い薔薇の小さいカードを渡す。

「封筒がなかったから」と剥き出しだった。

カードの裏には、
日付と「茉莉子亭」の文字が入っていた。


茉莉子は、
「ありがとう」と言って嬉しそうな顔でカードの両面を見ていた。


この薔薇が、100枚くらいになったら、
付き合ってくださいって言えるのかな?
と思いながら、

「来週は晴れてるかな」
と照れ隠しで空を見上げた。


でも、どう考えても自分では茉莉子の隣に並べないのも感じていた。
だから!
絶対コンペで大きい賞を取って、
会社のポジションを上げるか、
独立しようと、健太は密かに考えていた。
/245ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ