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甘い復讐
第15章 公開処刑 5日目
ロイスは、短剣の柄を両手で上から握ると、ありったけの力を込めて込めて、押し下げた。


「…んんっ!ぐあ゛ぁぁぁぁ!!!」


野獣のような叫び声と共に、一気に臍まで切り下げる切り裂事が出来た。


同時に、内臓が束になって腹から飛び出し、ロイスは激しく痙攣し始めた。


「あがっ…あ゛あ゛あ゛…。」


ヒューヒューという苦しそうな呼吸音とともに、消えそうな声で呻いている。


ロイスは、そのまま暫く動けなくなったが、直ぐに再び短剣の柄を上から握ると、体重を掛けるようにして、一気に下腹部を切り裂いた。


「ぐあ゛ぁぁぁぁぁぁ!!!」


やっとのことで、ロイスは鳩尾から恥毛の上辺りまでの、縦を切り裂くことに成功した。


「あ゛っ…あ゛っ…あ゛…!かはっ!あ゛…。」


ビクンッ!ビクンッ!ビクンッ!

身体の痙攣が止まらない。


ロイスは、震える手で、何とか短剣を握り直し、左の脇腹に突き立てた。


「んぐっ!!」


これも、内臓にまで達する十分な深さがあった。



「あ゛…ぐぁっ!…あ…あ゛…あ゛…。」



今度は短剣を左右に降って勢いを付けながら、左から右に切っていく。


小腸のかなりの部分が、外に出てしまっているからか、左右にきるのは、縦に切った時より、幾分か楽だった。

と言っても、殆んど体力の残っていないロイスにとっては、ギリギリだった。

何度も気を失いそうになりながら、気力だけで短剣を動かした。

「がっ!あっ!あああぁ!ぐぁ!あ゛あっ!!」

左右もやっとのことで、臍まできた。

ロイスは、最後の力を振り絞って、短剣を右に引き回した。


ずりゅ!


その瞬間、大量の内臓が腹から溢れて飛び出した。
殆んどの小腸と大腸は腹から外に出ている。


ロイスは、掻き切った後、辛うじて意識が残っていたが、力無く無く虚ろな目をして、痙攣を繰り返していた。


ロイスの腹は、丁度、十字架を逆さにした形に切り開かれた。

それは、『神の意思』という名の元に、本来ならば慈悲と許しが神であるにも関わらず、それとは全く逆の行いをする人間達を映す鏡のようでもある。
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