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自称痴女の裸遊び初体験
第2章 彼は、不登校男子
彼の名前は、夢野ダイチという。
ただ私は、彼のあだ名を知っていた。
「鈍亀(どんがめ)」
のろまな亀、という意味。中1のとき男子十数人から壮絶ないじめに遭っていた。
「やーい、のろま!」
とはやされ、ぼこぼこにされているのを見たことがある。
しかし。目の前にいる彼は、ちっとものろまじゃない感じ。ぼうっとしているが動作は機敏で、私がセックスに誘うと読んでいた本をさっと本棚に戻したその速さ。

「僕とセックス?ルナって、もしかして痴女?」
彼は、逆問してきた。セックスとか痴女とかいうエロい言葉を平気で口にする彼のようすに、私は逆に驚かされた。普通同年代の男子は皆恥ずかしがって、セックスという言葉を言うにも声を絞り出し思いきって口にするという感じなのに。
「うん。私、痴女だよ」
「そうなんだ…。うーん。いいよ。セックス遊び、しよう」
彼は、少し考えてから、答えてきた。
『やった。ひさしぶりにエロい雰囲気を味わえる』

「それで、ルナ?どこでする?ホテル?それとも…」
私は、彼が私を呼ぶ時の呼び方にやっと気づいて(それまで何の違和感もなく、しぜんに受け止めていた)
「え?ルナ?何、その呼びかた?」
と言った。
「え?どこかおかしい?」
「だって…。私たち、接点が初めてなのに、いきなり名前呼びで、しかも呼び捨てで」
これが、私の最低限のラインなんだ。接点を温めながらしだいに親しみを込めていき、恋愛に近い雰囲気にもっていってセックスに及ぶというのが、私流の持っていきかた。

「ふーん。ルナ、もしや、愛に飢えてる?」
彼、ダイチはずばりと私に問うてきた。
『このひと、なんて勘が鋭いんだろう?私のちょっとした言葉の端から見抜いてくるなんて?』
私は、ダイチの目端の利いたようすに舌を巻きながら
「うん…」
と肯定した。
「ふーん。セックスがしたくて、愛も欲しくて…。ルナ、かなり貪欲(どんよく)だな?さぞや今までのセックスでも、演技をいっぱいしたんだろな?感じてるふりをして、イクーとか叫んでたんだろ?」
『え!?』
わあー、すごい人間に出会ってしまった。何もかもお見通しという、エスパーな男子に。

私は悲しげに
「引く?」
と言った。
するとダイチは
「うーん、どうだろ…。別に、という感じだけど。貪欲なのは悪いことじゃないし、ルナがそうだからと言ってルナのこと嫌いにはならないよ?」
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