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また桜は散り過ぎて
第14章 新しいレール
年末年始の休みに入るとすぐに実家へ帰った。東京から電車で1時間半。
その割には帰る頻度は年に一度か二度。
今回はめずらしく姉から相談があるというので、休みをほぼ実家で過ごす事に決めた。
家に帰って来た私をさっそく姉・瑞希が待ち受けていた。
「おかえり」
「だたいま。めずらしくおねえちゃんがお出迎えなんてね。おまけに相談だなんて。
あ、言っとくけどお金は無いからね。ぎりぎりの生活してるんだから」
「そんなんじゃないわよ。実はね・・」
姉の夫は、高校の同級生。みかん農家をお兄さんと一緒に継いでいる。
姉は最初から手伝うつもりでお嫁に行った。
だけど農業というのは天候にも左右される。
自然相手の物だから、いつでも同じ状態で出来上がるわけではない。
そこで考えたのが、みかんの加工品を作って売るお店を始めるということだった。
「ジャムとかゼリーとかクッキーとか。お店ではみかんを生地に混ぜたパンや
ソフトクリームとかイートインできてさ。
で、なんかいいアイディアとかパッケージのデザインとか、
浮かんだら提供してもらえると助かるんだけど・・
もちろん、採用されたら対価は差し上げますよ。どう?」