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また桜は散り過ぎて
第16章 心のままに
 そうか・・省吾さんは気づいたのか・・
私が小西さんを、そして小西さんも私を・・
 心の中に小さな火が灯った。
もしもその火が鎮まるどころか大きく燃え上がっていったら、その時は・・

 部屋のベランダに出て、故郷の夜空を見上げる。
ここは星がよく見える。輝きはとがって見えるほど、鮮明だ。
東京の、薄ぼんやりとした夜空とは比べ物にならない。
あの時、小西さんに最後に会った夜、私はその薄い星空に手を伸ばしながら、
再び見ることはもうないのだろうか、と自身に問いかけた。
見たくなったら、見に行けばいい・・
 手紙を読み終えて、その問いかけの答えを得た気がした。
自分の気持ちに素直になればいい、ただそれだけのことなのだ、と。

 流れ星を、見た。初めて見た。
あまりに突然で、何の願い事もかけられなかったが、
急に体が動き部屋の中へと戻るとスマホに手を伸ばした。
素早い指の動きが導き出したもの、それは電車の時刻表だ。
明日、東京へ行くことにした。
喫茶・桜葉に、コーヒーを飲みに行くために。


end












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