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また桜は散り過ぎて
第2章 出会うのは、二つ目の桜
 
 アパートの部屋の鍵を開ける時にもまだ、足ががくがくと震えていた。
悪い事をしたわけではないけれど、人様の家を覗いている姿を見られた事、
そんな私のことをあちらはたぶんしっかりと見ていただろう事。
恥ずかしい気持ちは体中にひろがっている。
 部屋に入ってドアを閉めたと同時に悲鳴に近いため息が漏れた。
「やだわ、のぞき見してるとこなんか見られちゃって・・・」
独り言を言いながら、そのままソファにドスンと座った。
手にはバッグと買ってきた総菜、そしてよく顔を見なかった相手から渡された紙が
握りしめられている。
バッグと総菜をテーブルに置き、手の中で皺になっている紙を広げて見た。
「えっ!・・」
またしても声が出た。驚きの声。
そこに書かれている喫茶店の名前が声を上げさせたのだ。
「喫茶・桜葉」
喫茶・・さくらば?
なぜ私がそんなに驚いたか。
それは、桜葉という名前のもう一つを知っているからだ。





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