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また桜は散り過ぎて
第2章 出会うのは、二つ目の桜
石沢ミートを後にし、家路に着く。
私の住むアパートは商店街を出てすぐ。そして新装開店する喫茶店は商店街の一番端。
そう、ものすごく近いのだ。
近づいてくる商店街の端。店の前にさしかかった。もう外見は完成している。
今まではガラスの引き戸だった前面が壁になり、
そこに木枠にガラスの格子のドアが取り付けられ、ドアの両脇には窓ができている。
窓の下には鉢植えが並べられるような枠がつけられ、今はパンジーの鉢が飾られている。
中から漏れる明かりの中を、人の影が行ったり来たりしているのが見えた。
ちょっとのぞいて見よう、と窓辺に近づく。重厚感のある椅子とテーブルが見えるな、と
さらに窓に顔を近づけると、急にドアが開いた。
「どうぞ、こちらお持ちください」
覗いていたところを見られた事がものすごく恥ずかしくなって、
すみません、すみませんと首振り人形のように頭を下げ続けた。
「そんなに気にしないで。開店したら是非お越しください」
そう言って、私の前に1枚の紙を差し出した。
さっき石沢ミートのおかみさんがくれたのと同じ、
開店を知らせるチラシだった。
「ありがとうございます!必ず来ます」
恥ずかしさはなかなか消えない。
ろくにその人の顔も見ず、逃げるようにその場を離れた。
私の住むアパートは商店街を出てすぐ。そして新装開店する喫茶店は商店街の一番端。
そう、ものすごく近いのだ。
近づいてくる商店街の端。店の前にさしかかった。もう外見は完成している。
今まではガラスの引き戸だった前面が壁になり、
そこに木枠にガラスの格子のドアが取り付けられ、ドアの両脇には窓ができている。
窓の下には鉢植えが並べられるような枠がつけられ、今はパンジーの鉢が飾られている。
中から漏れる明かりの中を、人の影が行ったり来たりしているのが見えた。
ちょっとのぞいて見よう、と窓辺に近づく。重厚感のある椅子とテーブルが見えるな、と
さらに窓に顔を近づけると、急にドアが開いた。
「どうぞ、こちらお持ちください」
覗いていたところを見られた事がものすごく恥ずかしくなって、
すみません、すみませんと首振り人形のように頭を下げ続けた。
「そんなに気にしないで。開店したら是非お越しください」
そう言って、私の前に1枚の紙を差し出した。
さっき石沢ミートのおかみさんがくれたのと同じ、
開店を知らせるチラシだった。
「ありがとうございます!必ず来ます」
恥ずかしさはなかなか消えない。
ろくにその人の顔も見ず、逃げるようにその場を離れた。