この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
また桜は散り過ぎて
第5章 常連の仲間入り
入浴を済ませるとすぐに、冷蔵庫から缶ビールを取り出した。
ご飯もデザートも収めたお腹は、今度はアルコールを要求した。
「ビールとポテチは別腹だよね」と独り言を言いながら、床のクッションに腰を下ろした。
そしてテレビのリモコンに手を伸ばしたが、ふとその手を引っ込めた。
今夜の、喫茶・桜葉での出来事を思い返したかったから。
初めてあんなに長い会話をした。といっても、収穫自体は少ない。
メニューにチャーハンがあるのは元コックだったから。お父さんも料理人だった。
そして私の名前を聞かれて、常連の名前を知ることによって親近感が増すと感じる、
そう話していた。それくらい。
それよりなにより、喫茶店の店主・小西さんとおしゃべりできたことが
なによりの収穫ではないか。
穏やかな雰囲気で、でも意外と積極的で。
さくらバーの省吾さんとは対照的だと、二人の顔を交互に思い浮かべてみる。あれ・・?