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また桜は散り過ぎて
第7章 休日に出会った偶然
梅雨のどんよりとした毎日は、忙しくなくても疲れていなくても
体も頭もすっきりしない。
ここ何年か梅雨時になると有給休暇を一日もらって、
平日ならではの恩恵を被りながらリフレッシュをしている。
たとえその日が雨であっても、それなりに楽しむことはできるものだ。
デパートでは雨の日特典なるものがあったり、映画や美術館も人は少なめだし。
今年は、運のいい事に梅雨の晴れ間の晴天にあたった。
せっかくの好天気だからと、今日はサンドウィッチを作って近くの公園に行くことにした。
あちらこちらに点在する、シートを広げる若い母親たち。
そのまわりで小躍りするような小さな子供たちを眺めながら、木陰のベンチを目指す。
ベンチには、一人二人で来ている人が多い。高齢者だったり、中年の女性だったり。
なにするでもなく座っている人もいれば、本を広げたり
私のようにお弁当を持ってきている人がいたり。
そんな、似たような人たちに混ざっていると妙に安心する。
空いているベンチに腰を下ろし、しばし青空を見上げ、雲の形を観察し、
水筒に入れてきた紅茶を飲んで一息ついた。