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また桜は散り過ぎて
第11章 喫茶店からのクリスマスの誘い
秋が深まりちらほらと舞い落ちる枯れ葉は数えられるくらいだったのに、
いつの間にか焼き芋が焼けるんじゃないかと思うほどの山ができている。
大家さんの庭には小さな桜や柿の木があって、
その木々から落ちる枯れ葉が地面の上で悲し気な音をたてるのを部屋の中で聞いていると、
都会では味わえないだろうと思っていた自然の安らぎを感じられる。
カレンダーは残り2枚。あと1週間もすればこの写真も変わる。
そして一人になって2回目のクリスマスがやってくる。
今年はなにか予定ができるだろうかと、カレンダーをめくって最後の一枚を見る。
写真はポインセチアの花だった。
そういえば・・
喫茶・桜葉の窓辺の鉢植えが昨日ポインセチアに代わっていた。
ここしばらくご無沙汰してしまった。
仕事帰りや休みの日の買い物帰りに、店の前で足は止まるのだが、
なんとなく入れずにそのまま家路に着いてしまうのだ。
でもそろそろ小西さんの淹れる美味しいコーヒーと
美味しいケーキの味を取りこみたいから、
休日の課題である掃除を済ませてから出かけていくことにしよう。