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また桜は散り過ぎて
第11章 喫茶店からのクリスマスの誘い
店を出ると空は暗くなり、明かりが灯る商店街は夕方のにぎやかさに湧いていた。
喫茶・桜葉にも客が入って来て、忙しくなった店主への挨拶も素早く済ませた。
クリスマスの約束。その大きな収穫は、時間の流れの早さに脱力している私には、
強力なビタミン剤となった。
クリスマスの夜に、たぶんピザトーストでも食べて、ケーキを食べてコーヒーを飲む。
それだけも特別なディナーになるはずだ。
そうだ、なにかプレゼントを用意しよう。
個人に対する物だと気を遣わせてしまうかもしれない。
あの小西さんのことだもの、きっとそう。
だったらお店に飾れるお花だとか、他のお客さんにも配れるようなお菓子だとか。
まだ先の事なのに今からわくわくして頭の中を占領する。
私の心は完全に、小西さんに傾いた。