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水曜日の恋人
第13章 繋がる生命
酒井さんは忙しいだろうに、
毎日昼間と夜にお見舞いに来てくれた。

個室のままにしていたので、
少し時間が遅くても、特にお咎めはないようだった。


夜は、ベッドに座った私の横に座って、
肩に手を回して、
背中を撫でてくれたり、
キスをしてくれた。


「痛いだろう?大丈夫?」と、
物凄く心配してくれる。


普通なら自分でする赤ちゃんの沐浴は、
母と酒井さんがしてくれるのを、
私は車椅子に座って笑いながら見ていた。

母も、
「久し振り過ぎて怖くて出来ない」と早々にギブアップしたので、
もっぱら酒井さんがしてくれた。


手も大きいので、
両耳を塞ぎながらゆったり沐浴させている様子を、
スマホで録画しながら見てたら、
本当に幸せで涙が出てきた。


退院前夜、酒井さんがお見舞いに来た時に、
思っていたことを酒井さんに告げた。

「娘にマダムに因んだ名前をつけたいです」

「僕もそう言おうと思ってた」

手を繋いで、キスをしながら、
心の中で、
「これで良かったんですよね?」とマダムに言った。



退院の日は、看護婦さん達が総出で見送ってくれた。
多分、酒井さんのことだから、
毎日来る度に差し入れしてたのかもしれない。


マダムの荷物の中に、
美しい総レースのおくるみとベビードレスがあった。

「香織さんへ」と書かれたカードが添えてある籐の籠に入っていた。
その籠はイギリス製で、
赤ちゃんのキャリーにも使えるものだった。

マダムはこんなことまで予測していたのかしらと思いながら、
退院の時に、娘に着せてあげた。
天使のように可愛らしくて、
また、涙が出てしまう。


「茉莉ちゃん。
1ヶ月健診で会えるの楽しみにしてまちゅよ」と、
婦長さんが娘の顔を覗き込みながら言うと、
娘は婦長さんの手をギュッと握って少し笑った。


「あらあら。
言葉が判るのね。
スゴイわ」
と、嬉しそうに笑っていた。
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