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水曜日の恋人
第11章 マダムの遺言
病院の集中治療室に入り、処置を受けている間、
暗い廊下で震えながら酒井さんと静かに待っていた。

急過ぎる。

気持ちの整理もつかない。

だから、持ち直して欲しいと願っていた。


呼吸器などをつけられ、
眠っているマダムを見て、涙が止まらない。


少し安定してきたと言われて、
一度帰宅することになった。


マダムのバッグの中に、2通の封筒があった。
1つは「香織さま」とあり、
もう1つは表には何も書いていなかった。


1人で中を見るのは怖くて、
酒井さんと2人で封筒を開けた。


ペールブルーの便箋に、
ブルーブラックのインクで美しい文字で書かれている。

私は震えながら1枚ずつゆっくり読んでいった。
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