この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
恋とエロス
第4章 手の届かないひと

 どうにか体育館から出て、渡り廊下を校舎の方へ進むと、窓の外に大勢の人々が見えた。新歓イベントから帰る新入生たちと、彼らを部活やサークルに勧誘しようと待ち構える先輩たちが、賑やかに行き交っているのだ。

 さっきまでよさこいを踊っていた男女も、目立つ衣装のせいで何人かそこにいるのはわかったが、分散して別々に行動しているように見えた。後で知ったことだが、彼らはチームではあるものの、サークルや部活動としてやっているわけではなく、イベントなどの要請がある時にしか活動しないらしかった。

 私はこれといって入りたい団体はなかったけれど、その勧誘の渦の中を通過しないと帰れないので、仕方なく歩き出した。

「あ、三条匡……」

 遠目でもすぐわかって、思わず凝視してしまう。
 彼は背の高い男と一緒に、はじけるような笑顔で三味線を弾いていた。
 長い前髪をピンで留めているおかげで顔立ちがよく見えた。
 よさこいのメイクのままだが、切れ長の目が印象的で、鼻筋の通ったすっきり系の顔で、他のパーツに比べて口が大きい気がした。

 彼が仲間たちと音楽サークルを立ち上げて活動していることは、情報としては知っていた。
 基本的には音楽好きの集まりで、バンドを組んだり、音楽イベントを計画したり、大学の内にとどまらず色々やって楽しんでいるのだという。

 人前に出ることや派手なことの好きな男なんだなと、聞いた時はそう思った。

 本来、あまり多くの人間と親しまないはずの三条家の後継者が、少なくない仲間を作って青春を謳歌している。

 そのことの意味を、出会う前の私はまだ知らなかった。
/24ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ