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先輩!彼氏にしてください!
第8章 危険人物
「それで、久々のフリーに耐えかねて、『あーそういえば、ほのかっつー後輩いたなー』って思って母校に戻ってきたって訳ですか」
「うーん…ちょっと違うけど、まぁそんな感じ」
軽々しい言い方で、いつも振り回されて、期待して……
この人を好きでいるのは本当に苦しい。
一年前だって同じだった。
私の気持ちに気付いた新先輩は、彼女がいる身でありながら、この生徒会室でキスしてきた。
あの時、嬉しいのと、苦しいのと、真逆の感情が一気に押し寄せて……
結局、新先輩は何もはっきりしたことは言わずに卒業していった。
私の中であの出来事は、大人が言う『青春時代の苦い思い出』ってことにして昇華させたのに、またこの人は突然目の前に現れた。
それでも、私は必死になんでもないフリをして……
先輩の久々の訪問を喜ぶ普通の後輩を演じて、笑って……
はぁほんと最悪だ。
『吹っ切れた』なんて、言ってるだけで全然まだ私の中で整理がついていないのかもしれない。
────────── 新先輩に何かしたら、一生口きかないから
谷川くんにあんなことまで言って。
一体私は誰とどうなりたいのか。
自分でも訳が分からなくなってきた。
「ほのかは…どうしたいの?」
だから、それが分からないんだって、と思いながら私は新先輩のことを見つめた。