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先輩!彼氏にしてください!
第8章 危険人物
私の頷きを見て、新先輩はハハハといつも通り笑う。
「バカだなぁ俺。大体何でもできるし、周りのことも結構気付く方だと思うんだけどさー」
「……それ、自分で言います?」
「でも……自分の気持ちに気付くのだけめちゃくちゃ苦手なの」
そう言って新先輩は、今度は谷川くんの方を向く。
「ホマレ!」
「……なんですか」
「ほのかは、別にそこまで流されやすいって訳じゃないと思うよ」
「…………はあ」
「確かに、優しいし正義感があるから断るのは苦手かもしれないけど。でも、同じだけ、こいつは『強い』し、自分を大事にするやつだから」
ペラペラと自分のことを話されて、何となく居心地が悪くなる。
「……知ってます」
「そか」とだけ返事した新先輩は含みを持たせたまま扉の方へと向かう。
「じゃあ、俺は振られた事だし。帰るかな」
「…………すみません」
「なんか困ったら連絡してー。手伝うからさ」
手を振る新先輩に向かって、谷川くんが半歩身を乗り出す。
「僕がいるんで。大丈夫です」
「あーそうだったな」
そう言って、はにかんだ新先輩はひらひらと手を振りながら、生徒会室から出ていった。