この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
先輩!彼氏にしてください!
第9章 青春の文化祭
翌日。
ついに迎えた高校生活最後の文化祭の日、私は自分たちで作ったベニアのプラカードを持って人混みの中を歩いていた。
やたら甘い匂いやらが立ち込めて、至る所でキャッキャしている声が響く。
いつも、ここが静かな学び舎とは思えないほど、今日は活気に満ちている。
そんな中、迷子がいないか、怪我をしてる人や体調が悪そうな人、その他困っている人がいないか。目を凝らして探し出すのが生徒会の仕事だ。
一回でいいから、普通にこの文化祭を楽しんでみたかった気もするけど、まぁこれはこれで例年通りだし、こっちの方が私に合っているような気もする。
あぁーー、でもリンゴ飴美味しそう。
後で一人で買って休憩中に食べようか……
そんな虚しいことを思いながら、人混みの中を歩いていると前方からキャーーー!!と声が響いたのが聞こえて私はビクリと体を震わせた。
不審者でも出たのだろうか……
ギュッとプラカードの柄をキツく握り、さらに奥へ奥へと向かうと、人だかりが出来ているのが見えて眉を顰めた。
どうやら不審者ではないみたいだ。
ていうか…芸能人?か何かだろうか。
そういえば、何年か前、この学校の文化祭に大企業のイケメン社長と副社長が訪問して騒ぎになったって聞いたことがある。
あまりにイケメンすぎて人だかりが出来て、かつ失神する人が続出した、なんて……もはや伝説みたいなことを聞いた時は本当なのかって思ったけど、今似たような状況を前にして少しだけ伝説の信憑性が増した。