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先輩!彼氏にしてください!
第9章 青春の文化祭
「なに」
「大丈夫だよ。後輩くん飽きたりしてないって。ほのかの事大好きだから」
「はぁ?」
何の根拠もない無責任な発言に思わず声を上げると麻理は身を乗り出した。
「後ろ、ちょっと離れたところから後輩くんがほのかのこと、じぃーーっとみてる」
「え」
ハッとして振り返った私は遠目から谷川くんの姿を探す。
そして、たしかに壁からひょこっと顔を出している谷川くんを見つけて、目を見開くと目があった途端谷川くんはそこから逃げるように立ち去ってしまった。
「………何なの」
「ね? 大丈夫でしょ」
「気味悪い」
「そんなの、今に始まった事じゃないじゃん」
それは…
そうだけど。
前みたいに直接声をかけてくる方がまだマシだったような気がする。
あんな遠くからコソコソ様子を窺われてるとかやっぱりキモチワルイんだけど。
「とりあえず、飽きられてたわけじゃなくて良かったね」
「……全然良くない」
「そう? でもほのか顔緩んでるよ?」
麻理の指摘に「へ」と腑抜けた声を上げた私はすかさず自分の頬を両手で掴む。
その様子を見てさらにケラケラと笑う麻理を見ながら、たしかに少しだけ安堵している自分に気付いていた。