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先輩!彼氏にしてください!
第9章 青春の文化祭
はぁとため息を吐く谷川くんを私は真顔で見つめる。
「どうしましょう……これじゃあ道ゆく男たち全員がほのか先輩に魅了されちゃいます…。やっぱいやだなぁ、折角僕のこと好きになってくれたのに、他の人に先輩を晒したくないなぁ……」
ブツブツと勝手に葛藤している谷川くんを見ながら、私は一度でいいから谷川くんの視線で自分を見てみたいと思った。
谷川くんの言葉だけを聞いた人なら、私は絶世の美人ってことになる。
何がどうなればそんなふうに見えるのか。
私なんかよりも数倍、数十倍…いや、数千倍、数万倍谷川くんの方がすごいっていうのに、
何故なのか、谷川くんの世界には『私』と『私のことを狙っている男たち』と『自分』しかいないらしい。
「…………もう、ごちゃごちゃ言ってないで行こう」
否定するのも色々とめんどくさくなった私は、プラカードを持って図書室を出る。
背後で「待って下さ〜い」と谷川くんの声を聞きながら、私はバレないように、笑みをこぼした。