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先輩!彼氏にしてください!
第10章 腑抜けた天才



†─── 誉(ほまれ)side ───†




リンゴ飴を持つほのか先輩の目がきらめく。


嬉しそうにしながら、大きな口を開けて、リンゴ飴を頬張る。


笑みをこぼす先輩から、僕にしか見えない矢が飛んできて胸に心地よく刺さった。



あー……なんてかわいいんだろう。



抱きしめたい…キスしたい─────…




『………食べる?』



そう言いながら、ほのか先輩は少し恥ずかしそうに食べ掛けたリンゴ飴を僕に差し出す。


紅い頬に魅惑の上目遣い。


鼻血が出そうになるのを堪えながら、僕は『じゃあ…』と返事をして差し出されたリンゴ飴を頬張る。



『………美味しくない?』



夢にまでみた、リンゴ飴よりも甘いシチュエーションに、今死んでもいいとさえ思いながら、幸せを噛み締める。


周りがガヤガヤとしているのなんか、まるで気にならない。


ほのか先輩の周りだけがまるで天国のような異世界で─────




「谷川くーーーーん? 聞こえてるかーーい???」


「…………………──────」




突然、脳内世界から引き戻されて僕はふん…と息を吐きながら妨害してきた早坂先生を見た。




「…………なんですか」


「なんですか、じゃないでしょ。ずーーっと私話してんのに」


「はあ」



興味がなさすぎて、まるで聞こえていなかった、というのが正直なところだ。


それよりも先日の文化祭での夢のような出来事を反芻する方が何倍も幸せで楽しい。


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