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先輩!彼氏にしてください!
第10章 腑抜けた天才
「安藤さんとなんかあったでしょ」
「………そうですね」
正直にそういうと、早坂先生は、「おぉ!」と声を上げた。
「ついに彼女を落としたの!?」
俗っぽい言い方にため息を吐く。
何で何も関係のない早坂先生に言わなくてはいけないのか。
「もしかして文化祭ラブ!?」
「……いいから、早く要件言ってください」
こうしている時間も、ほのか先輩といられる時間が削られているのかと思うと……
「なにー? その言い方。そもそも、私は要件話してたのに、君がちゃんと聞いていなかったんだろうがー」
「………それは…はい」
「まったく……」
はぁと息を吐いた早坂先生は、きている白衣のポケットに手を突っ込む。
そして、再び僕に向き直った。
「来週の土曜日、この前のコンテストの授賞式だからちゃんと行くようにって、言ってるの」
「授賞式?」
「…………本当に何も聞いてなかったんだね…」
嘘泣きの素振りを見せる早坂先生を僕は冷め切った態度で見つめる。
「今回、君の作品は大賞はもちろん審査員賞も取ってしまうという前代未聞のダブル受賞をかましたわけだからね。きっとたくさん報道陣も来るよ。いやぁほんと将来有望! 君みたいな生徒がいて私も鼻が高いよ、ほんと」
「…………来週の土曜日って言いました?」
「え? あ、うん」
「だったらその日は空いてないので無理です。では、話は終わりですね」