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先輩!彼氏にしてください!
第12章 欲求不満な彼氏彼女
喉が乾いた。
いつもの野菜ジュースを買いに行こう。
そう思った矢先の出来事だった。
「ほのか先輩、これ」
その言葉と共に渡されたスッと軽やかに私の目の前に現れた野菜ジュース。
それを掴んで、顔を見上げると、谷川くんがニコニコと微笑んでいる。
前にも増してイケメンで、谷川くんの周りにお花が咲いているように見える。
「…………あり、がとう」
急に恥ずかしくなってフッと目を逸らすと、谷川くんがハァ…とため息を吐いた。
「本当に、今日もかわいいですね……」
しみじみと放たれたいつも通りの言葉に、私の向かいに座っていた麻理もニコニコと微笑む。
「後輩くん、今日も健気だね〜」
「そんな。やりたくてやってるんです」
嬉しそうな声音で、麻理に返事をしながら谷川くんは豪華な包みを私の前に置く。
「うわぁ〜今日も愛妻弁当……いや、愛彼氏?弁当っていうの?これ」
「………愛してるっていうのが伝わっていれば呼び名は何でもいいですよ」
麻理な茶化しに、谷川くんはそんなことを平気で答えながら、シュルシュルと風呂敷を解く。
いつも通りの豪華なお弁当に、私は小さく息を吐く。
嬉しくないと言ったら嘘だけど…
毎度毎度やりすぎというか何というか…
「今日もたくさん食べてくださいね! ほのか先輩!」
「………あの、さ。いつも言ってるけど別に毎日こんなに豪華に作ってくれなくていいから」
「えっ…!」と声を上げた谷川くんが一気に不安そうな顔をしたのを見て私はすかさず「いや」と否定する。