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先輩!彼氏にしてください!
第12章 欲求不満な彼氏彼女



「…迷惑とかじゃなくて…。毎日、大変だろうなって。別に私自分で作れるし、そんなところで谷川くんの負担になりたく───」


「───なぁんだ、そんなことですか? 負担なわけないじゃないですか。僕はほのか先輩のことが大好きなんですから」


「………………」


「しかも僕の作るものがほのか先輩の血や肉になっていると思うと……」



大きな声でそんなことを言うせいで、周りが一瞬静かになった後、クスクスと笑っているのが分かる。


けど、谷川くんは、周りが見えていない。


居た堪れない……


休むはずのお昼が一番気が休まらないこの状況、どうにかして欲しい。


けどこれ以上ここで谷川くんに何か言っても、どんどん恥ずかしくなるだけな気がして押し黙っていると、谷川くんは私の額に軽やかにキスを落とした。



「っ…ちょっ………」


「では。僕は行きますね。お弁当、後で取りに来ますから」



手をひらひらさせて、突然にその場から消えた谷川くんの背中を見ながら、深くため息を吐きお弁当に目を移す。


行きますね、って何なの。


付き合ってからというもの、谷川くんは私と一緒にお昼を食べずにお弁当を置いてどこかへ行ってしまう。




「後輩くん、今日も一緒に食べないんだね」


「…………知らない」


「……何それ。拗ねてんの?ほのか」


「っ…す、拗ねてないよ!」




慌てて否定すると麻理は、眉を上げて、「ふーん」と相槌を打つ。



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