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先輩!彼氏にしてください!
第4章 モデルをお願いします!
「いやーー谷川くんは優秀だから、授業聞かなくてもどうせ大丈夫だし、授業中も構わず呼びやすくて助かるわぁ」
「……そういうの…あんまり、良くないと思いますけどね」
はははと笑った早坂(はやさか)先生について行きながら後ろ姿を見る。
30代半ばの女性らしからぬ、ボサボサの髪は偏見かも知れないが芸術家っぽさがある。
美術室に入ると、窓が開いていて外からバシャバシャと水の音が鳴り響いていた。
「この絵、なんだけどさ」
早坂先生はそう言いながら、ちょっと前に僕が書いた絵を指差す。
今までたくさん絵を描いてきたけど、その中でも一番大きくて、一番気に入っている絵だ。
────────────── なんか……『すごかった』から…見惚れて
先輩をイメージして描いて、しかもその先輩が『見惚れた』と言ってくれた、まさに運命の絵。
すごいのは、ほのか先輩の方で、僕はそれを表象したに過ぎないのに何だかとても誇らしかった。
「この前、私の学生時代の教授が私に会いにきた時に、偶然これを目にして、感激しててね」
「………はぁ、そうですか」
つまりは、ほのか先輩がすごいってことだ。
僕の絵を通しても人を魅了してしまうほのか先輩は、本当に罪深い人だ。