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先輩!彼氏にしてください!
第5章 彼氏までの道のり ─ 序 ─
「……どうかしました?」
「………なんていうか……いつそんなに惚れさせたんだろうってずっと疑問だったんだよね」
「…………」
「泣いてる時にたまたま通りかかってハンカチ渡したとか……いじめられているところを助けたとかさ、覚えてないけど…そういうことしたのかなって思ってたんだけど」
ほのか先輩の瞳から、色が抜ける。
怒っている─────
そして、嫌われるかもしれない恐怖に身がすくんだ。
「ただの一目惚れだった、ってことね」
「………え…?」
あの日の衝撃が『ただの一目惚れ』?
そんな訳ない。
なのに、言葉にし難い出来事だったから、弁解もできない。
「私……一目惚れって、嫌いなんだよね」
「っ………」
嫌いという言葉がグサりと胸を貫く。
苦しくなって、思わず胸を掴むと「まぁいいや」とほのか先輩は呆れたようにため息を吐いた。
違う。
違う違うっ………違うのに……っ
「『ただの一目惚れ』なんかじゃありません……っ」
「………いいよ、もう、別に。どうでもいいから」
「僕はどうでもよくなんかないですっ……!!!」
思わず声を荒げるけど、ほのか先輩は全く動じてない様子で、本を読んでいる。
「あの日の先輩は本当に輝いていてっ……この世の全てを魅了してた」
「……大げさ」
「大げさじゃありません! 本当です!」