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先輩!彼氏にしてください!
第5章 彼氏までの道のり ─ 序 ─
「じゃあ…送ります」
「うーん……」
「そして、僕が先輩の看病します」
「……………うちにあがるってこと…?」
「はい。今日金曜日ですし、泊まりで看病しますよ」
鼻息が荒くなってしまうのを必死で堪える。
だけど先輩は「いやいや」と言いながら笑った。
「谷川くん家にあげるとか……危なすぎるから」
「…………でも、背に腹は変えられないですよね」
「いや……『危なくない』って否定してよ」
否定なんかできる訳ない。
とにかく、ほのか先輩の家に上がれるなんて、そんな機会を逃す訳にはいかない。
もちろん本気で看病する気はあるし、治って欲しいと思ってるけど、それ以外にもアレコレと考えてしまうのは仕方ないと思う。
だって……どうしようもなく先輩のことが好きなのだから。
「…………何もしないって約束する?」
「…いや……看病しますよ」
それ以外もきっとしますというのはもちろん呑み込む。
ほのか先輩は、諦めたようにため息をついているのを見て、胸が高鳴るのを感じた。
「何で……こうなったかなぁ…」
ベッドから体を起こした先輩を抱える。
「帰りましょうか」
「………場所分かるの?」
「分かりますよ。当たり前です」
1人暮らしは予想外だったけどどこに住んでるかはもちろん把握してる。
小さく「コワ…キモチワル」とブツブツ呟いているほのか先輩を抱えて、僕は初めての先輩のうちに向かったのだった。