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先輩!彼氏にしてください!
第5章 彼氏までの道のり ─ 序 ─
「何か……欲しいものとかありますか?」
「大丈夫…ありがと」
沈黙が続く中、僕は冷蔵庫の方まで歩き、中を見る。
やっぱり、冷えピタが入っていた。
一枚取り出して、先輩の方に持っていくと、先輩は「おー…」と力なく声を上げた。
「………よく見つけたね」
「………………」
こんな時ですら、先輩と一緒にいれることが嬉しくて…
下心満載で先輩のおでこに触れる。
そして、ゆっくりと冷えピタを貼ると先輩はいつになく素直に「ありがとう…」と呟いた。
早く、良くなって欲しい。
本当に心からそう思っている……けど……
「冷えピタやっぱいいね…」
「……………」
「きもちい………」
「……っ……………」
困ったことに…………
弱っている先輩がとんでもなくかわいい上に、エロく見えて仕方がない。
「せ、先輩、おうちの方に…連絡しましょうか…?」
「え……?」
「ずっとここにはいられないですし…」
「あー……」と言って先輩はゆっくりと目を閉じる。
「そうねぇ……」
「連絡先教えてくれたら…僕が代わりに連絡しますよ」
「うーん……まぁでも、私今…1人暮らし…だから」
え?
「親も遠くに住んでるから呼んでも来られないだろうし…連絡はいいよ」
衝撃の事実に体が固まる。
先輩を好きになって、
先輩を調べ尽くしたつもりだったのに…
1人暮らしなことは知らなかった────…
僕もまだまだ愛が足りてないのかもしれない。
細かいところばかりに目をやって、誰と暮らしているかなんて、そんな基本的な情報を取り忘れるなんて……
頭を抱えたあと、僕は先輩の手を両手でギュッと握った。