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咲くのも、散るのも
第2章 花開くとき
萌絵は、達志とその恋人、拓海と洋子のことを思い出した。
かけがえのない存在を迎え入れる準備をしている彼女たち。そして、彼女たちを支える男たち。みんな、愛する相手を前にして、すべてを引き受ける覚悟をしているのだ。
彼らは萌絵にとって、まるでおとぎ話のような、別の世界に暮らすひとたちだった。
けれど、みんな現実を、真摯に生きている。
萌絵は、これから父親になる拓海を、洋子からかすめ取るような行いをしている自分が、ふいに小さく思えた。
自分の、女としての幸せのためだけに、欲望のままに流されている自分は、何か覚悟を決めたことはあるだろうか。今の私は、本当になりたい自分の姿なのか。
…おとぎ話の世界に迷い込んでいるのは、むしろ私のほうではないか。
かけがえのない存在を迎え入れる準備をしている彼女たち。そして、彼女たちを支える男たち。みんな、愛する相手を前にして、すべてを引き受ける覚悟をしているのだ。
彼らは萌絵にとって、まるでおとぎ話のような、別の世界に暮らすひとたちだった。
けれど、みんな現実を、真摯に生きている。
萌絵は、これから父親になる拓海を、洋子からかすめ取るような行いをしている自分が、ふいに小さく思えた。
自分の、女としての幸せのためだけに、欲望のままに流されている自分は、何か覚悟を決めたことはあるだろうか。今の私は、本当になりたい自分の姿なのか。
…おとぎ話の世界に迷い込んでいるのは、むしろ私のほうではないか。