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咲くのも、散るのも
第2章 花開くとき
「俺の、乳歯か」

木箱の中には脱脂綿が敷かれ、抜けた子供の歯がきれいに並んでいる。

蓋の裏側には歯列の図があり、それぞれの歯が抜けた日付が小さくペンで記録されていた。

生え変わるたびに達志の母親がひとつひとつ箱にしまっていたのだろう。

刺繍のついたカバーの中身は、達志が生まれたころの母子手帳だ。

達志の母の字で、妊娠中から出産後のことを細かに記してあった。

「彼女に、見せてあげて」

達志は驚いた顔をした。

そのあと、涙をぽろぽろ流して何度もうなづいた。
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