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ラストソング
第10章 旅立ち
次に美和さんたちと会ったのは、
土曜日の午後だった。


会社の設立手続きが終わったということで、
メンバー全員、美和さんの家に集まった。

その場で、
レンくんが皆に、
自分と美和さんが一緒に暮らし始めたことを伝えた。


そして、美和さんからは、
この部屋を事務所として登記したことと、
もう少し内装に手を加えて、
事務所として運用していくという話をされた。


外のスタジオ借りなくても、
ちょっとした練習も出来る部屋もある。

俺が使わせて貰った部屋は、
なんなら皆、合宿みたいに寝泊まり出来るように、
シュラフとかを置いておく。

リビングは外部の人とも打ち合わせ出来るようにして、
プロジェクターでライブ映像流してチェックしたり、
バンドでのミーティング出来るようにしたいと言っていた。

これまで美和さんの部屋になってたトコも、
パソコンや機材を置いて、
編集作業やフライヤーのデザインとかも出来る仕事部屋にすると言う。


「あれ?じゃあ、美和さんたちは何処で寝るの?」と俺は訊くと、

「同じ階の反対の角部屋が空いてたから、そこに住むことにしたよ。
だから、こっちは全員に鍵を渡して、いつでも作業とか練習出来るスペースにするから。
でもね、ルールがあるよ?
1)女の子を連れ込まない。あ、男の子もだよ?
2)私の家にはレンくん以外は入れないからね?
3)事務所を出たり入ったりする時は、グループLINEに連絡すること。
これ守れなかったら、鍵、没収するからね?」と、
何処かで聞いたようなことを美和さんは言った。


ソファに座った美和さんとレンくんは、
ずっと手を繋いでいた。

そして、時折、
お互いをとても愛おしそうな顔で見ていた。


その様子は、余りにも自然で、
そして穏やかだった。

嫉妬心すら湧かないほどだった。
それは俺だけじゃなくて、
他のメンバーも同じだった。
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