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ラストソング
第2章 心機一転
カーテンの隙間から入る光が眩しくて目が覚めると、
いつもの部屋じゃないことに、一瞬混乱した。


ああ。


と、昨夜のことが、フラッシュバックのように蘇ってきた。


美和さんは?
と見廻すと、リビングの隣の部屋でアイロン掛けてるようだった。



「あの…
おはようございます。
泊めて貰っちゃってスミマセン」


「おはよう。
本当に何もされないとは、
私、舐められてるのかしら」と戯けて言うと、


「はい。
衣装は綺麗に洗濯終わったよ。
私服と下着も乾いてるから。
バスローブ、はだけてて恥ずかしいから、
着替えてきて!」と、
綺麗に畳まれた服を一式、渡された。


俺は赤面しながら、洗面所に向かう。


「あ、新品の歯ブラシ、出しといたからね」と言う声が、
後ろから掛かる。

何から何まで申し訳なくて、
美和さんに頭を深々と下げた。


着替えてリビングに戻ると、カウンターにトレイが2つ置いてあった。


「運んでくれる?
1個ずつで良いから」と言われて、
2個持とうとしてたので、言われた通り1個ずつダイニングテーブルに運んだ。


トレイには、
ご飯と味噌汁、サラダの小鉢、
焼き鮭の大根おろし添えが載っていた。


「わ。
なんか旅館の朝食みたいですね」
と言うと、

「生卵と味付け海苔も出す?」と言って笑った。



「何から何まで本当に…」


「良いから食べて。
ご飯に集中しましょ」と言われた。


早食いの俺と違って、
美和さんはゆっくり良く噛んで食べていたので、
俺も意識して、ゆっくり食べてみた。


「いつも早食いしてるでしょ?
でもね、良く噛むのは大切なのよ」と、
優雅に姿勢正しく食べながら、美和さんは言った。


朝食が終わったので、
「俺、洗います!」と立ち上がったが、

「じゃあ、運んでくれる?
洗うのは食洗機だから」と言って、
美和さんはスタスタと流しの前に立って、
軽くお湯で汚れを洗い流してから、
食器を食洗機に入れて行った。


「コーヒーが紅茶、飲む?
焙じ茶もあるよ?」と言われたので、

「じゃあ、コーヒーで」と答えた。


大振りのマグカップにコーヒーを淹れてくれたので、
俺が運んだ。


ダイニングテーブルに座ると、

「さて。
話を聞こうかな?」と、美和さんは言った。
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