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ラストソング
第1章 出会い
レコ発ライブは、3組の構成にした。

オープニングアクトのバンドは、
俺たちのバンドのサポートでベースをやってるマークがメインでやってる若手バンドだ。
勢いはあるが、まだまだこれからという感じだ。
ちなみに、マークって言っても、勿論日本人だ。


2組目は、これまでも一番対バン回数も多い、大所帯のスカバンドにした。
自分でレーベルも持っていて、音楽的にもレベルは高いが、バンドとしての方向性は全く違うので、キャラも客層も被らないから対バンとしては最高だ。
しかも、バンドのメンバーが多いということで、観客動員数も見込める点が、箱に対するノルマを考えるとポイントが高いので、良く企画モノのライブにも呼ばれている。


そして、トリが俺たちのバンドだ。
歌物を大事にしたいコンセプトで、
元々、ポーカルの俺とギターのリョウで始めたバンドだった。

ドラムのサクラは後から加入した。
サクラは他のバンドと掛け持ちだったが、今はこのバンドだけだ。
ベースのマークはサポートメンバー。


逆リハにしたので、
リハーサルは自分のバンドからだった。
以前はリハーサルから来ていた直子は、最近はギリギリにしか会場に来ない。
本番で、周りを威嚇するような態度を取りながら、
一番後ろでビデオを撮るような感じだから、勿論まだ来ていなかった。

次のスカバンドのリハーサルになると、
客席に小柄な女性が居て、
大きな一眼レフを2台持ちしながらメンバー達を撮影しているのに気づいた。
黒いロンTに黒いパンツ。
髪は後ろに結んで黒縁眼鏡を掛けていた。

見てると、バンドの演奏に合わせて歌いながら、
楽しそうにファインダーを覗いて、時にはバンドメンバーに合わせてステップを踏んでいた。
余りにも楽しそうで、目が離せなくなった。


リハーサルが終わると、客席外のバースペースに移動して、
マックにカメラを繋いで、データを落としながら画像チェックをしているようだった。

スカバンドのボーカルの太郎さんが声を掛けてるのも聞こえた。


「美和ちゃん、ありがとね。
おー。良いね。凄く良い写真!」
他のメンバーもワイワイ周りを囲んでる。


俺もそこに近づいて、マックのディスプレイを覗いた。

躍動感溢れる、楽しそうな写真が並んでいた。
静止画なのに、音楽まで聴こえそうだった。




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