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ラストソング
第6章 一騎討ち
美和さんは、
「ちょっと待って。
レンくん、ギター置いてくれる?」と言うと、
自分のギターもスタンドに置いて、
いきなりレンくんを抱き締めた。


「えっ?」
とレンくんが呟いて、

ベーシストの子は、小さく口笛を吹く。

戸惑いながらもレンくんは、
美和さんの背中に腕を回して、
ぎこちなく背中を撫でた。


「私、レンくんが好き。
誰が何と言おうと好き。
想いが届かなくても好き。
一緒に演奏出来て死にそう」


そう言って暫くレンくんの心臓の音を聴いているようだった。
泣いていたんだと思ったけど、
スッと身体を離した美和さんは、
偉く男前な顔になってた。


「OK。やってみる。
レンくん、ありがと」と言って、
さっき弾いていたSGではなく、
ストラトを握って手早く調弦した。


もう一度、ドラムがカウントを出して演奏が始まると、
最初の1音目から違っていた。
そして、ベースを目立たすアレンジだけど、そこにグイグイとギターが絡んでいく。

レンくんは弾いてたギターを後ろに回してサイドギターでコードを刻むことも辞めて、
歌に集中していく。

全体をきっちりドラムが引っ張っていく。


ギターソロになると、美和さんは前に出て、
一際華やかな音を出す。
ベースも美和さんの横に来て、2人で掛け合うように弾く。


全く違う音になっていく瞬間だった。


他の定番曲も次々弾いていく。
美和さんは、どの曲も暗譜していて、
レンくんがどの曲のタイトルを口にしても、
すんなり演奏していく。


いつもラストに歌う曲になると、
美和さんは号泣して、涙を堪えようと上を向いて、
一緒に歌いながら演奏した。


鳥肌が立った。

そして、見つめ合う美和さんとレンくんを見て、
2人の魂が結びついているように感じた。

勿論、演奏だけの話なのかもしれないけど、
それくらい深い絆に感じられた。


俺、あんな若造に負けたのか?
そんな失恋した気持ちで、
明日のライブ、演れるのか?と思ったら、
怖くなってしまった。


「そろそろ帰ります!
当日、楽しみにしてます」と言って、俺はスタジオを後にした。


そして、帰宅すると、
ライブの荷物を詰めてから寝ようとした。

でも、美和さんとレンくんの演奏が耳に残ってしまい、寝付けなかった。
今日も、美和さんは朝帰りなんだろうか?
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