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ラストソング
第7章 大阪の陣
ふと、目が覚めると美和さんは隣に居なかった。
慌てて起きると、髪をタオルでガシガシ乾かしながら、
美和さんがシャワーから出てきたところだった。


「おはよ。
朝ご飯にしない?」


「はい」

俺は半分寝惚けながら、Tシャツとジーンズに着替えた。
美和さんは胸元が眩しいほどのラップワンピースを着て、ヒール靴を履いていた。


のんびり朝食取りながら、美和さんは今日から火曜まで仕事で帰れないと言った。
前にレンくんとスタジオ練習の話をしてる時に聞いてはいたけど、寂しかった。


「今夜はゲンさんの本業のライブがあってね、
ゲストのオルガニストがアメリカ人だから通訳で入るの。
明日はその人のピンのライブがあって、そっちも通訳。
翌日は、その人のリクエストで、着物姿で京都観光をアテンドするんだ」と、仕事の内容を初めて説明してくれた。


「ゲンさんのライブ、聴きたいです」


「ファーストセットなら、帰りの新幹線間に合うかな?
チケット代、洋平さんのバンドの4枚分だよ?」と笑った。


「構いません。お願いします」と言った。


「ご飯食べたら、私、新幹線駅にクライアントをお迎えに行くの。
洋平さん、ゆっくりしたかったらお部屋に居ても良いよ。
それなら、お掃除無しでって伝えておくから」とテキパキと言った。

このテキパキとした美和さんさんが、本来の美和さんなのかもしれないと思った。


部屋に戻ると歯磨きを2人並んでした。
美和さんが持ち物のチェックをしてるのをぼんやり見てたら、
俺の方を見て、いきなり美和さんは俺にキスしてきた。

「えっ?」


「だって、死んじゃいそうなくらい悲しい顔、してるんだもん」と笑って背中を撫でてくれる。


「仕事に入ると、洋平さんのこと、見れなくなっちゃうからね。
そんな顔、しないで?心配でしょ?」

そう言って、胸元に俺の頭をギュッと引き寄せて、髪を撫でてくれる。




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