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ラストソング
第1章 出会い
「タクシーですか?下まで送ります」と俺は荷物を持とうとすると、
「大丈夫ですってば」と言った後、
「やだ。
私、あのヒトに刺されちゃうわよ」と、
俺の耳元で囁いてから、
「よっこらしょ」とカバンと三脚などが入った長いケースを担いだ。
「やっぱり持ちます!」と言って強引に荷物を持つと、
一緒にエレベーターに乗った。
外に出て大通りまで歩いてタクシーを探したが、
なかなか空車は見つからなかった。
「あのね、あんまり『彼女オーラ』出しまくって、
他の女の子のファンを睨みつけるような彼女はさ、
バンド活動の妨げになるから、
ライブには連れて来ない方が良いんじゃない?
差し出がましいこと言うようだけどね」と美和さんが言った。
本当にその通りだと思ったから、
何も言えなかった。
「それと…
煙草は辞めた方が良いよ。
声帯は強そうだけど、
高いキーが出にくくなるから。
彼女さんにも煙草辞めて貰わないとね。
近くで吸われたら同じだから」
短い時間で大勢の人間が居たのに、
よく見てるもんだと、俺は感心した。
そして、もっと話をしたいと思った。
「カメラとか置いたら、
打ち上げに合流しませんか?
今夜は朝までだと思うし」
「オールするほど体力ない。
オバさんだからね」と笑う。
「オバさんだなんて!
でも、来れたら!
店を知らせたいから、携帯教えてください」
「良いわよ」
そう言って、携帯を鳴らし合い、
ついでにLINEも交換した。
「あ。あれに乗れそう」と言って、
美和さんは大きいゼスチャーでタクシーを止めた。
「洋平さん、おやすみなさい。
良い夜を!」と言うと、
俺をハグしてからタクシーに乗り込んだ。
余りにも突然のハグで、
しかも美和さんがとても小さかったので、
残念ながらキスとかは出来なかった。
タクシーのテールランプが離れて行くのをじっと見てた。
ん?
テールランプが離れて行くのをじっと見てたって、
良いフレーズだなと思って、
携帯にメモった。
ライブハウスに戻ると、みんな外に出ていて俺を待っていた。
「タクシー捕まらなくて」と言い訳をしながら、直子を見ると、
明らかに不機嫌な顔をしていた。
「大丈夫ですってば」と言った後、
「やだ。
私、あのヒトに刺されちゃうわよ」と、
俺の耳元で囁いてから、
「よっこらしょ」とカバンと三脚などが入った長いケースを担いだ。
「やっぱり持ちます!」と言って強引に荷物を持つと、
一緒にエレベーターに乗った。
外に出て大通りまで歩いてタクシーを探したが、
なかなか空車は見つからなかった。
「あのね、あんまり『彼女オーラ』出しまくって、
他の女の子のファンを睨みつけるような彼女はさ、
バンド活動の妨げになるから、
ライブには連れて来ない方が良いんじゃない?
差し出がましいこと言うようだけどね」と美和さんが言った。
本当にその通りだと思ったから、
何も言えなかった。
「それと…
煙草は辞めた方が良いよ。
声帯は強そうだけど、
高いキーが出にくくなるから。
彼女さんにも煙草辞めて貰わないとね。
近くで吸われたら同じだから」
短い時間で大勢の人間が居たのに、
よく見てるもんだと、俺は感心した。
そして、もっと話をしたいと思った。
「カメラとか置いたら、
打ち上げに合流しませんか?
今夜は朝までだと思うし」
「オールするほど体力ない。
オバさんだからね」と笑う。
「オバさんだなんて!
でも、来れたら!
店を知らせたいから、携帯教えてください」
「良いわよ」
そう言って、携帯を鳴らし合い、
ついでにLINEも交換した。
「あ。あれに乗れそう」と言って、
美和さんは大きいゼスチャーでタクシーを止めた。
「洋平さん、おやすみなさい。
良い夜を!」と言うと、
俺をハグしてからタクシーに乗り込んだ。
余りにも突然のハグで、
しかも美和さんがとても小さかったので、
残念ながらキスとかは出来なかった。
タクシーのテールランプが離れて行くのをじっと見てた。
ん?
テールランプが離れて行くのをじっと見てたって、
良いフレーズだなと思って、
携帯にメモった。
ライブハウスに戻ると、みんな外に出ていて俺を待っていた。
「タクシー捕まらなくて」と言い訳をしながら、直子を見ると、
明らかに不機嫌な顔をしていた。