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ラストソング
第1章 出会い
打ち上げは、いつも使うライブハウス近くの熊本料理を出す店だった。
対バンのメンバーが3人熊本出身ということもあるし、
そのうちの誰かの知り合いの店らしく、
何かと融通がきくからで、
何よりも料理が美味かったからだ。
そして、マスターもママも、豪快で心優しく、面倒見が良かった。
店は貸し切りで、ワイワイ打ち上げが始まった。
俺は、太郎さんの隣に座って、
新しいCDの感想を訊きながら、
ちびちびと焼酎のロックを飲んだ。
その合間に、美和さんのことを訊いてみる。
「さっき、ギターのチューニングのこと、
注意されちゃって…」
「ああ、美和ちゃん、耳が良いし、厳しいからな」
「いつもライブに来てるんですか?」
「完全禁煙の箱で、仕事じゃなければ、誘えば来てくれるかな。
喘息あるって言ってたから、煙草、ダメらしいよ」
「喘息か…」
「俺なんてさ、前は吸ってたけど、美和ちゃんに言われて煙草辞めたぞ。
一番高いキー、無理矢理出してるでしょって言われてさ。
確かに辞めて、暫く真面目にボイトレして、
ランニングも続けてたら、更に2度上まで出るようになったからな」
「ふーん。なるほど。
普段、何の仕事してるんですか?」
「翻訳だか通訳だかって言ってたかな?
だから、英語の曲、歌うの、結構緊張するな」と、太郎さんは笑った。
「何歳くらい…」
「美和ちゃんのことばっかだな。
本人に訊けば良いじゃん」
それ以上は訊きにくくなって、
違う話になっていった。
トイレ行きがてら、
美和さんにLINEしてみた。
「今日はありがとうございました。
打ち上げの店、ここです。
飲み屋だけど、完全禁煙です。
良かったら!」と書いて、
店の情報を貼り付けてみた。
でも、すぐに既読にはならなかった。
席に戻る時、直子が席を立つのが見えた。
「どうした?トイレか?」と訊くと、
「あたし、帰る!」と言う。
「洋平、あのチビ女の話ばかりしてるし、
気分悪いから!」と言って、スタスタと店を出て行ってしまった。
俺は後を追うのも面倒になり、
席に戻った。
対バンのメンバーが3人熊本出身ということもあるし、
そのうちの誰かの知り合いの店らしく、
何かと融通がきくからで、
何よりも料理が美味かったからだ。
そして、マスターもママも、豪快で心優しく、面倒見が良かった。
店は貸し切りで、ワイワイ打ち上げが始まった。
俺は、太郎さんの隣に座って、
新しいCDの感想を訊きながら、
ちびちびと焼酎のロックを飲んだ。
その合間に、美和さんのことを訊いてみる。
「さっき、ギターのチューニングのこと、
注意されちゃって…」
「ああ、美和ちゃん、耳が良いし、厳しいからな」
「いつもライブに来てるんですか?」
「完全禁煙の箱で、仕事じゃなければ、誘えば来てくれるかな。
喘息あるって言ってたから、煙草、ダメらしいよ」
「喘息か…」
「俺なんてさ、前は吸ってたけど、美和ちゃんに言われて煙草辞めたぞ。
一番高いキー、無理矢理出してるでしょって言われてさ。
確かに辞めて、暫く真面目にボイトレして、
ランニングも続けてたら、更に2度上まで出るようになったからな」
「ふーん。なるほど。
普段、何の仕事してるんですか?」
「翻訳だか通訳だかって言ってたかな?
だから、英語の曲、歌うの、結構緊張するな」と、太郎さんは笑った。
「何歳くらい…」
「美和ちゃんのことばっかだな。
本人に訊けば良いじゃん」
それ以上は訊きにくくなって、
違う話になっていった。
トイレ行きがてら、
美和さんにLINEしてみた。
「今日はありがとうございました。
打ち上げの店、ここです。
飲み屋だけど、完全禁煙です。
良かったら!」と書いて、
店の情報を貼り付けてみた。
でも、すぐに既読にはならなかった。
席に戻る時、直子が席を立つのが見えた。
「どうした?トイレか?」と訊くと、
「あたし、帰る!」と言う。
「洋平、あのチビ女の話ばかりしてるし、
気分悪いから!」と言って、スタスタと店を出て行ってしまった。
俺は後を追うのも面倒になり、
席に戻った。