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ラストソング
第8章 最後の聖戦
ライブハウスに向かって駅から歩いていてふと見たら、
細い路地に美和さんとレンくんが居た。
レンくんは美和さんを抱き締めてた。

立ち止まって暫く見てたけど、
ただそれだけだった。

本当に優しく、
ただ背中と髪を撫でてるだけだった。

俺は、そっと目を逸らしてから、
ライブハウスに向かった。

レンくんたちの出番になった。

美和さんは、黒地のバンドTシャツに黒いスリムなパンツを履いて、
目が見えないほど黒いサングラスを掛けていた。

小柄な美和さんがストラトを持つと、
子供がギターを抱えているみたいだった。

レンくんのバンドを知ってる客たちは、
口々に、
「あれ、誰だ?」
「ああ。この前のライブでリードギターの子、ギターをぶん投げて、クビになったってさ」
「まあ、下手くそだったしね」
「でも、面白かったよな」
と好き勝手なことを言っていた。

でも、ステージのメンバーは、
静かにチューニングして、
客席の声なんて、全く聴こえてないようだった。

ドラムがカウントを出して、
真っ赤なライトが一気についた。

美和さんのストラトがいきなり、鳴り響くと、
レンくんが大きな声で叫んだ。

ベースとドラムがそれに激しく絡んでいく。

世界も空気も、一変したのを、
その場に居た全員が感じた。


そこからは、客も、出番が終わったバンドのメンバーも、
これから出るバンドのメンバーも、
PAやスタッフすら、釘付けになっていた。


殆どMCもなく、
曲を展開していく。

最後の曲の前に、
突然、レンくんは即興の曲をアカペラで歌った。

髪を乾かさずに歩く
風が気ままに髪を乾かす女の子の歌だった。
美和さんのことだ。
そんな彼女の手を引いて
どこへでも
どんな遠くにも行くっていう内容だった。

そして、ラストの曲になった。

上を向いてギターを弾く美和さんは、
泣きながら髪を振ってた。
マイクは拾わないように切ってあるけど、
大声で歌ってるのが客席でも聴こえた。

最高潮のうねりの中、演奏は終わると、
アンコールの拍手が鳴り止まなかった。

4人は再度ステージに立つと、真ん中に集まった。
美和さんがアコースティックギターを弾いて、
ドラムの子は小さいタンバリンを、
ベースの子はトライアングルを持った。
初めて聴く、凄く可愛らしいコーラスの曲を歌った。

観客も楽しそうだった。

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