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ラストソング
第8章 最後の聖戦
太郎さんが、
「参ったな。この演奏の後は、キツイよな」と苦笑しているのが見えた。

レンくんたちは、楽器と機材を運ぶと、
レンくんとベースの子が美和さんを両脇から抱えるように外に出たようだった。

すれ違いざまに、ゲンさんが美和さんに何か声を掛けてたけど、
美和さんは反応も出来ないようだった。

2バンド目の演奏の終わり頃になって、
ようやく服を着替えてカメラを2台抱えた美和さんが戻ってきた。
髪型も変わってて、さっきのギタリストと判るような人は居ないようだった。


ゲンさんとゲンさんの連れにも挨拶して、
楽しそうに笑っている処を見て、少しホッとした。


レンくんたちも戻ってきて、ライブを聴いてくれていた。



そして、俺たちの時間になった。

美和さんが、舞台の袖で、
俺をギュッと抱き締めてくれる。
なんか、それだけで頑張れると思えた。


レンくんのことはもう、どうでも良かった。
自分の問題だ。

そして、今日のライブが終わったら、
決断しなくてはいけないことも判っていた。


バンドの解散…


多分、それしかないだろう。



でも…


とにかくベストの演奏をしたかった。
お客に対しても、
自分たちにとっても、
何より美和さんにも。


そんなことで、想いが届く訳ではない。

美和さんのレンくんへの気持ちを変えることも難しいだろうということも知っていた。



でも…



俺たちは、それぞれの想いを胸に、ステージに上がった。


そして、その後のことは覚えてない。


煌めくライトや、点滅する光に包まれながら、
歌に集中して、
何処かに浮遊しているような心地だった。



『ラストソング』は、激しいアレンジで演奏した。


そして、アンコールは新曲で、
美和さんへの叶わぬ想いと旅立ちをテーマにしたヤツで、
バラード仕立てにした。


歌い終わって横を見たら、
美和さんが泣いてた。

その涙だけで、充分な気持ちになった。

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