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あおい風 あかい風
第10章 空港
 陽輝がチェロを背負い ふたり 手をつないで ロビーを見おろせるラウンジに行った。

  走り回る子供を追いかける母親。
 小さな荷物を膝に載せ 並んで座っている老夫婦。
  友達と輪になり 笑いながら肩をたたきあっている若者たち。
 空港で よく見かける光景が広がっている。

 アイスは食べなかった。コーヒーは不味かったが 並んで座っているだけで 和やかに幸せだった。

 ロビーにもどり 陽輝が カウンターに問い合わせに向かおうとすると フライト案内表示器がいっせいに「欠航」を告げた。
 ふたりで 黙ってしばらく「欠航」という文字を見つめた。

 結月は スマホを取り出し
 「ママ? 台風のせいで まだ飛ばないみたい。ううん。はるにぃも一緒。このまま 待ってみるから。うん。大丈夫。また電話するね」

 「うそ ついちゃった」
 真面目な顔で 結月が言った。

 陽輝もスマホを取り出し
 「母さん? まだ空港だよ。台風のせいで遅れているんだ。一緒に様子をみてみるから。遅くなるから 先に寝てて」
 「うそついちゃった」
 肩をすくめて笑いかける。

  結月が飛び込んでくる。受けとめ 抱きしめた。

  いつもこうだった。受け止めてもらえると信じて飛び込んできた。
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